Long distance 捜査愚痴ー残されたONE piece



俺の捜査員として出発は遺伝子ハンティングからでした。腕のいいGene hunterだったのですが・・・。

多分世界が滅びいたらアメリカのせいでしょう。奴らは何をやってもとにかくスケールがデッカイ!全遺伝子を解読せよー。ばっかじゃないの?

所が、思ったより速いスピードでホンマに全部読んでしまいました。そしてGene huntingという言葉は死語に・・・。

ゲノムプロジェクトが終わりpost genome時代がやって来ました。Gene hunterは使う道がなくなりました。あなたも気を付けなさい。シリコンバレーのAIが完成されれば、あばたの机がなくなるのも時間の問題でしょう。

まぁ、とにもかくにも新時代到来と共に新たな工夫をしなければサバイバルできなくなります。生物捜査が私に教えたのは適者生存の原則。強いものが生き残るのではなく環境に適したものが生き残るのです。Gene hunterもそれなりに変身を遂げ生き残りました。

Post genome時代の残された捜査は遺伝子の機能に関する捜査でした。全遺伝子を解読したはずなのに実は文字のな列のようなもので生体における機能に関しては、まだまだ未知の遺伝子がたくさん残されていました。

遺伝子の機能を明らかにするには二つの手法があります。loss of functionとgain of function。ことばとおりで遺伝子を脱落させたときにどの機能が失われるか、もしくは遺伝子の導入によりどのような機能を獲得するのかです。

少なくとも遺伝子が持つ遺伝情報には特徴とか配列の類似性というのがあります。配列が似た二つの遺伝子は似たような機能を持ちます。この捜査分野もそう時間はかかりませんでした。まぁ、簡単なのはすんなり終わります。

一応細胞における機能がわかったとしても生体における意義はなかなか予測できません。捜査員たちは遺伝子欠損マウスとかハエを作ります。やってみると予測できなかった新しいメカニズムを発見したりします。これもある程度基盤があるから可能な話です。

それでも機能がわからない遺伝子があります。まぁ、とりあえずその遺伝子の欠損マウスを作ってみよう。機能がわかるかも知れない。僕はこれをアホの選択といいます。極めて厳しい捜査です。なぜなら悪魔の証明に当たる手法だからです。

悪魔の証明は存在しないことを証明することです。これほどアホ臭いことはありません。ないことは証明できないのです。結局やることは存在することとの比較に過ぎないのです。

僕も時代の流れに添って遺伝子欠損マウスを作りました。始めは機能がわかっている遺伝子のはずでした。しかし前任者の結果はartifactによる疑陽性のものでした。困りましたね。

なぜ、これが悪魔の証明に当たるかというと、欠損マウスを普通のマウスと見比べて相違を見抜けて遺伝子の機能を推測しなければならなりません。単純にいえば、普通のマウスにあるもので欠損マウスにはないものを探すのです。しかし、人間の知識はマウスの全てをわかっている訳ではなく、比較して著しく目立つのは欠損マウスにあって普通のマウスにはないものばかりなのです。遺伝子欠損マウスにある機能が普通のマウスにはないわけですから、存在しない遺伝子の機能を証明することになります。これこそ悪魔の証明❗人間はマウスのすべてがわからないわけですから、普通のマウスにあって、欠損マウスにはない機能。松林に落としてしまった針を探すはめになります。

まぁ、しょうもないのでラードを食べさせ肥らせてみました。そしたら、普通のマウスは肥って糖尿病になりましたが、欠損マウスは肥ってもいないし糖尿病にもなりませんでした。ほら、この遺伝子の機能は肥らせる遺伝子じゃん。うむむむ、どころが肥る話しはそう単純な話ではありませんし、肥る機能の意義を考える哲学がさっぱりわかりませんでした。普通は遺伝子がないとこの様なところで困る。だから、この遺伝子の存在価値云々というのが常識ぽい。生命はどこからやって来たか見たいな漠然とした話しでもあるまい。もしも神が生命を作ったならば、肥る遺伝子なんか挿入しといて、アホかみたいな話です。

とにもかくにも10年近くかけて、少ない成果で窓際の立場になりながらも、多くのことを学びました。

3週間におよぶ張り込み捜査の甲斐あり、起訴までラストOne pieceを残しました。やっと普通のマウスにあって、欠損マウスにはないものに正面から立ち向かうことができましたが、残ってる時間がギリギリで、依然とどきどきハラハラする立場に変わりはありません。100回以上諦める考えもしましたが、ここまで粘ったのもマラソンのお陰です。でも、100キロまでなら、マラソンの方が遥かに簡単です。

 

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